大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

岐阜地方裁判所 昭和60年(特わ)698号 判決 1986年2月19日

本籍

岐阜県美濃市志摩五一〇番地の三二

住居

同県同市神洞七三六番地

会社役員

岩原勝秀

昭和二三年二月七日生

本籍

岐阜県美濃市蕨生四四番地の一

住居

同右

会社役員

井上重敏

昭和二三年一月二日生

右両名に対する各所得税法違反事件につき、当裁判所は検察官松浦由記夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人両名をそれぞれ懲役一〇月及び罰金一二〇〇万円に処する。

被告人両名においてその罰金を完納することができないときは、それぞれ金五万円を一日に換算した期間、その被告人を労役場に留置する。

被告人両名に対しこの裁判確定した日から二年間それぞれの懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人両名は、岐阜県美濃市俵町二一七六番地の六において、ザ・ケンワードコーポレーションの名称でポケットナイフ等の輸出業を共同で営み、その収益を五〇パーセントずつ配分取得する旨定め、同割合に従って収益を配分していたものであるが、各所得税を免れようと企て、確定申告に際して、売上金の一部を除外して、これによって得た資金を簿外預金等にするなどの方法により、所得の一部を秘匿したうえ、

第一被告人岩原勝秀は、

一  昭和五六年分の実際所得金額が一六〇四万二八二〇円であり、これに対する所得税額が四〇〇万三五〇〇円であるのに、右実際所得金額中一三五四万九三七五円を秘匿した上、昭和五七年三月一五日、同県関市川間町二番地所在関税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二四九万三四四五円であり、これに対する所得税額が零円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、前記正当税額との差額四〇〇万三五〇〇円を免れ

二  昭和五七年分の実際所得金額が三二八九万七七三〇円であり、これに対する所得税額が一三〇〇万五四〇〇円であるのに、右実際所得金額中二九九八万七一五〇円を秘匿した上、昭和五八年三月一五日、前記関税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二九一万〇五八〇円であり、これに対する所得税額が四万二三〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、前記正当税額との差額一二九六万三二〇〇円を免れ

三  昭和五八年分の実際所得金額が六八三九万七二二九円であり、これに対する所得税額が三五七七万〇三〇〇円であるのに、右実際所得金額中六一五五万九七七一円を秘匿した上、昭和五九年三月一五日、前記関税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六八三万七四五八円であり、これに対する所得税額が六七万〇五〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、前記正当税額との差額三五〇九万九八〇〇円を免れ

第一被告人井上重敏は、

一  昭和五六年分の実際所得金額が一六〇四万二八二〇円であり、これに対する所得税額が四四一万一一〇〇円であるのに、右実際所得金額中一三五四万九三七五円を秘匿した上、昭和五七年三月一五日、前記関税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二四九万三四四五円であり、これに対する所得税額が六万八九〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、前記正当税額との差額四三四万二二〇〇円を免れ

二  昭和五七年分の実際所得金額が三二八九万七七三〇円であり、これに対する所得税額が一三三二万五二〇〇円であるのに、右実際所得金額中二九九八万七一五〇円を秘匿した上、昭和五八年三月一五日、前記関税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二九一万〇五八〇円であり、これに対する所得税額が一〇万二六〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、前記正当税額との差額一三二二万二六〇〇円を免れ

三  昭和五八年分の実際所得金額が六八三九万七二二九円であり、これに対する所得税額が三六二二万一八〇〇円であるのに、右実際所得金額中六一五五万九七七一円を秘匿した上、昭和五九年三月一五日、前記関税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六八三万七四五八円であり、これに対する所得税額が八二万五三〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、前記正当税額との差額三五三九万六五〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全事実について、被告人両名の当公判廷における各供述のほか、記録中の証拠等関係カード(検察官請求分)に記載されている次の番号の各証拠

判示全事実について

15ないし24、27ないし41、43、45ないし53、58ないし64、68、77ないし79、83ないし85、108ないし115、117ないし127、129、130

判示第一の各事実について

1、4ないし6、25、116

判示第一、第二の各一の事実について

54、70、73ないし75、82、86ないし89、100、102、103

判示第一の一の事実について

判示第一、第二の各二、三の事実について

42、56、57、66、76、81、92、98

判示第一、第二の各二の事実について

55、65、67、69、72、90、91、104

判示第一、第二の各三の事実について

44、71、93ないし97、105、107

判示第二の各事実について

8、10ないし12、26、128

判示第二の一の事実について

(法令の適用一被告人両名)

一  判示各所為

いずれも所得税法二三八条一項

一  刑種の選択

各所定刑中いずれも懲役と罰金とを併科

一  併合罪の処理

刑法四五条前段。懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一、第二の各三の罪の刑に法定の加重)。

罰金刑につき同法四八条二項。

一  労役場留置

罰金刑につき刑法一八条

一  刑の執行猶予

懲役刑につき刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 山口博)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例